2024.09.20【建蔽率(建ぺい率)】【容積率】とは?松原市で住宅を建てる時に知っておきたい…
■土地を買う前に知るべきこと
理想のマイホームを建てるうえで土地探しから始める人も多いかと思います。希望の土地が見つかったとしても、その土地の広さに対して建物の規模を好きに決めていいわけではありません。周辺に住む人たちの快適さや安全を考えて、法律などでさまざまな規制があります。
その中で必ずチェックしないといけないのが「建蔽率」と「容積率」です。この2つを知らずに土地を決めてしまうと、せっかく良い土地が見つかったのに希望通りの家が建てれないという可能性もあります。さまざまな規制によって実際に家を建てるとなれば、狭い家になるケースや間取りの自由度が非常に低くなることもあり、後悔することになりかねません。「建蔽率」と「容積率」について分かりやすく解説します。
■「建蔽率」とは?調べ方(計算方法)は?
建蔽率とは簡単にいうと、敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見た時の面積)の割合のことです。敷地面積に対してどれくらいの広さの建物が建築できるかを決めているもので、「敷地の何%を建物用に使えるか」を定めている数値です。用途地域ごとに30~80%の範囲で制限が決められています。
建蔽率は、以下の式で計算できます。
建蔽率(%)=(建築面積÷敷地面積)×100
建築面積:建物の接地面積 敷地面積:土地全体の面積
例えば、土地が30坪(約100㎡)で建物の建築面積が18坪(約60㎡)の場合、(60÷100)×100=60で建蔽率は60%となります。
建蔽率は、真上から見た建物の面積で計算されます。そのため、2階建の場合は2階の床面積が大きければ、そちらが建築面積となります。
■建蔽率の必要性
建蔽率を定める理由は主に以下の3つが挙げられます。
1.過ごしやすい住環境の維持
例えば建蔽率の制限をなしにすると、敷地面積ぎりぎりまで建築が可能になります。そうすると建物が密集するようになり、風通しや日当たりが悪くなり、快適な住環境を維持することが難しくなります。建蔽率を制限することで、適度な開放感を確保し、過ごしやすい街並みを作ることができます。
2.防災上の安全性の確保
こちらも同じく建蔽率の制限がない場合、建物が密集すると火災や地震などの災害発生時に周囲の家への延焼や倒壊の危険性が高まります。建蔽率を制限することで、建物間の距離をしっかりと確保し、災害時の被害拡大を防ぐことができます。
3.景観の保全
建物を建てすぎると、街並みが単調になり景観が損なられる可能性があります。建蔽率を制限することで、建物の高さをある程度抑制し、美しい街並みを保つことができます。
■建蔽率の要件緩和
条件を満たしていれば建蔽率を上乗せできる緩和条件というものがあります。用途地域が建蔽率80%以外で、かつ、「防火地域」にある「耐火建築物」であれば、規定されている建蔽率に10%加えることが可能です。
また特定行政庁が指定した「角地」の敷地であれば、延焼を防止し、風通しにも支障がないと考えられるため、建蔽率を10%加えることができます。このように、土地や建物の条件によっては制限が緩和されることがあります。
例えば、「防火地域」で「耐火建築物」で「角地」(※各自治体によって角地の規定が異なるため、必ず確認が必要です)の3つを満たしている場合は、指定建蔽率に計20%を上乗せできることになります。できる限り広い家に住みたいと考えている人であれば、このような緩和条件は覚えておくと家づくりの幅が広がります。
■容積率とは?調べ方(計算方法)は?
容積率とは、建物の延べ床面積(建築物の各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。土地にどれぐらいの大きさの建物が建てることができるのかがわかる指標になります。建蔽率と同じく、用途地域ごとに規定される指定容積率が定められています。
容積率は、以下の式で計算できます。
容積率(%)=(延べ床面積)÷敷地面積×100
延べ床面積:それぞれの階の床面積を合計した面積 敷地面積:土地全体の面積
例えば、1階の床面積が「50㎡」で2階の床面積が「25㎡」、敷地面積「100㎡」の場合、(50+25)÷100×100=75となり容積率は75%になります。
■容積率のポイント
容積率を求めるうえで、「延べ床面積」がポイントになります。延べ床面積とは、ぞれぞれの階の床面積を合計した面積のことです。容積率は土地に対して何回の建物を建てることができるのかを定めるための基準とも言えます。
延べ床面積に含まれない部分がいくつかあります。
- ・玄関
- ・バルコニー・ベランダ
- ・ロフト
- ・地下室
- ・ビルトインガレージ(ビルトイン車庫)
上記の部分は延べ床面積に含まれないため、結果的に容積率が緩和されるケースがあり、これを「容積率の緩和の特例」といいます。
容積率の緩和の特例とは、容積率の上限は都市計画、用途地域によって決められていますが、一定の基準を満たせばこの制限が緩和されるものです。例えば敷地面積が狭い場合でも容積率の緩和の特例を利用することで、定められた容積率をオーバーする(違法建築物になってしまう)ことなく、面積を有効に活用してお家づくりができます。
ただ、容積率の緩和の特例の基準を満たしていても、自治体によって条件が異なる場合があるので、必ず確認が必要になります。
■容積率の制限。指定容積率と基準容積率などについて
容積率の制限は用途地域に応じて定められる容積率の最高限度(指定容積率)と建物の前面道路が12m未満の場合の道路幅員による容積率(基準容積率)のうち、どちらか厳しい方の制限を受けます。
・指定容積率について
例えば指定容積率が500%であれば、100㎡の土地に延べ床面積500㎡までの建物を建てることができます。ただし、実際には接する道路が幅員12m未満の場合による基準容積率が適用されて、指定容積率よりも厳しい制限を受け、指定容積率いっぱいの建物が建てられないケースもあります。
・基準容積率について
用途地域別で前面道路幅員に乗じる(掛け算する)係数が決まっています。2つ以上の道路に接している場合には、最も広い道路幅員で計算し、セットバックが済んでいない2項道路は前面道路の幅員が4mとして計算します。例えば、指定容積率が200%の住居系地域で幅員4mの前面道路に接する場合は、4m×40=160%(基準容積率)になります。160%(基準容積率)<200%(指定容積率)になるため、基準容積率の方が制限が厳しいため、容積率の制限は160%となります。
■建蔽率と容積率のまとめ
ここまで建蔽率と容積率について色々な制限、規制、緩和などのご説明をさせていただきました。同じ敷地面積でも建てられる家が大きく異なることがあります。どういう家を建てたいのか、自分たちのライフスタイルを踏まえながらイメージを決め、様々な制限などを把握しておくことで、理想の家づくりに近づけることができます。